FC2ブログ

STAND BY ME

生きることにちょっと 不器用な子どもたち、もと子どもたちの 短いお話を 綴っています

お引越しのお知らせ

更新も2月に1回ほどになり、訪問される方もコメントのつけ合いをする方も少なくなって長い状態です。
ここの旧作を全部移すには量が多すぎるのですが、内容を見直し手直しを加えながら、新しいblogを作っていきたいと思っています。
引っ越し先はこちら
「ぺんぺん草 花束にして」


 もうひとつ、(今は同じタイトルですが(いずれ変えるかもしれません)g.o.a.t のサイト「ぺんぺん草 花束にして」


新しい記事もこちらの方にUPしていきます。
            
 宜しかったら 覗いてみて下さいね。

                  

過去作を振り返る





ここを見に来る方もすっかり少なくなって、自分のための備忘録の役目のblogと化しております。

なので、という訳でもないんだけど
他のサイトでまとめたものあるので リンクしておきます。


http://p.booklog.jp/users/nazunasuzuhara

おとなのコラムというサイトがあったころ よく日記やエッセイを書きました。
お絵描きも好きでした。


いつも参加している Mistery Circle さんの「アナザーMC」という企画に載っかれないかなと今思案中

信号待ちの間に

Texpoのバトル参加作品。お題は「カーテン、携帯電話、信号」でした





「もしもし 由香子? あたし。うん 今 外」
車の音聞こえるけど・・と携帯から由香子の声がした。
とたん 引きつっていた頬が緩んだ。

泣いてるの?どした?由香子がいきなり聞いてきた。
「まさか ばっかじゃないの。泣かないよ」

いきなり掛けて来て 何でその言い方よ、流れが見えないよ、何怒ってる? 
由香子が聞く。

相変わらず察しのいい友人だ。

「鼻声?ああ これは 花粉症。そう、花粉症」
あたしは答えながら 鼻をすする。アレルギーがないのが 自慢だったくせに。
それでも 由香子にはバレバレで ふうん、なんて言いながら 上手く先を促すから
ついつい こちらの事情なんかを 吐き出してしまう。いつものことだ。

「カーテンなんて 何だっていいよ、好きなんの選んできたら なんて言うんだよ。
信じらんない。新居だよ 新婚の 初めての 二人の部屋なんだよ。」
黙って聞く由香子にあたしは まくしたてる。

何色にしよう どんな家具にしようって 一緒に迷うのが楽しいんじゃないの?
もう アウトだよ。こんなに 夢破ってくれて。
こんなとこで躓いたら これからうまくいかないこといっぱいあるよ
考え直そうかな 結婚。まだ間に合うよね。


あらら、とか へええとか そうだね、とか
由香子は合間に控えめな相槌を打つ。ときどき あんたらしいわって くすくす笑う。
由香子の笑った時の顔が浮かぶ。


どこが好きだったんだっけ?  今さらのように 由香子が聞く。
これって いつも あたしがヤツと喧嘩した時に 彼女が聞くことのひとつだ。
そして あたしもいつも 律儀に答えを探すのだ。

「どこだか もうわかんなくなったよ。優しいっていうのは こんなのとは違うよ。
好きにしていい 任せる 君の趣味でいいなんて 優しくないよ 全然優しくなんかない。」

付き合い始めたきっかけって 何だったっけって 由香子がとぼけて聞いてくる。
知ってるくせにね。ずっと一緒にいたんだ。あたしたち。みんな。

「やきそばだったよねって。また それ言うの?」あたしは 言う。何度も何度も話した思い出話。

学祭だったよね。よく覚えてるよね。
あの時は楽しかったよね。確かに楽しかった。
若かったねぇ。うん、若かった。
汗でTシャツ濡らしてさ。
頭と首に巻いたタオル 見るに見かねて取り替えてあげた。世話女房みたいにね。

料理得意な人なのかって 勘違いしたけど それしか作れなかったじゃない。
でもさ、よく皆で 下宿に乗り込んで 無理やりやきそばパーティーしたよね。
雑魚寝して 彼がいつも風邪引いた。
起きたらいつも あたしの上に毛布が掛かってた。

そうやって 由香子はあたしに色んなことを話させる。
鼻声が酷くなってることには触れないで。


「信号待ちって なんかさ、待ってたら長いよね。」
あたしが言う。電話の向こうで また由香子が笑う。
思わない? あれ そう?

「とおりゃんせ」の音って鳴らなくなったね。いつの間にか。
変だったよね。音程が何だか 間抜けなの。

怖いながらもとおりゃんせ
なんてさぁ。 どんだけ 恐ろしいんだよ。横断歩道。
あれ、こんな話って 前もしたっけ。

で、どうすんの?由香子が聞く。
信号が青に変わり 周りの人が動き出す。前へ。

「行くんでしょ?今から 彼の部屋。」

うーん、と 考える。
「由香子と話してたら 何だかスッキリした」
ありがとね。ごめんね。いっつも。今度おごるよ。

で? ともう一度由香子が聞く。
答えはもう 解ってるんだよね?由香子にはきっと。


「やきそば作って待っててくれたら ちょっとだけ 許すかも。」
由香子のくすくす笑いの余韻を感じながらもうすこし歩いて 
横断歩道渡りきったら 電話を切ろう。


 | HOME |  »

Monthly

Categories

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Appendix

すずはら なずな

すずはら なずな

どれも短いお話ですが 
一つでも心に残ったら嬉しいな。

過去記事どこにでも、
コメントOKです。
舞い上がって
喜びます。

FC2Ad

管理者ページ