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生きることにちょっと 不器用な子どもたち、もと子どもたちの 短いお話を 綴っています

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久しぶりの ごあいさつ

ご存知の方は飽きるほどご存知の絵です。
最近イラストも手抜き&サボリがちです。反省・・。
september2.jpg




えーと・・なずなです。

お話をHPの絵日記に書いていたのを、
blogにまとめてスタートし直してから なんと1年たちました。

コメントくださる方も 黙って見守ってくださってる方も
いつも本当にありがとうございます。

最近、ぽろりんと 応援の言葉を寄せてくださる方も 
ちょっぴり増えて とても 嬉しく思っています(*´∀`*)ゞ



リンク申し出てくださった方々、もちろん歓迎です。

(ただし実物を見たら 埋めたくなるようなオバサンですが
 そこのところは 納得の上で よろしくお願いします 
 あ 、誰も 見たくはないか・・\(-_-;))




カテゴリーは ご存知だと思いますが
「みんなみんな いいこ」~幼稚園の話
「友だち100人できなくっても」~小学生たちの話
のように、主人公の年代で 分けています。
・が・・だんだんと分類のできないのが増えてきました。

いずれ もっと読みやすく並べなおして・・と考えつつ
相変わらずの 状態です。

「ちょっといい話」とか「ちょっと考えさせるお話」とか
「なんとなく懐かしい話」とか・・
「あ、私もそんな経験あったよ」なんて話のきっかけになるような
ショートストーリーが 書きたくて始めたのですが
少しずつ 長かったり、重かったり・・ 
恋愛物なんてジャンルにも 足を踏み入れつつあります。
(これ以上踏み込むことはないと思いますが・・)

改行が多いのは、一応 blogの画面で読みやすいように・・
というこだわりで、時々変な改行がぽん、と入るのは 
文字数まで考えてUPしない 私のいい加減な性格ゆえです。
スミマセン。


今思うのは もっと色んなバイトして、仕事して
もっと色んな人に出会って、色んな恋愛してたら 
よかったなぁ・・ということ。

引き出し全開で書いていますが 
もう行き止まり~? 世界狭っ!
・というのが 悲しいこのごろです。

若いみなさんは 色んな経験をいっぱいしてくださいね。
ババくさい言い方だ・・。

で、私にネタを下さいな \(ーー;)


つまんない記事で すみませんでした。
近況&お礼& いくつかの嬉しいコメントのレスに代えて・・。






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NEKOZE(猫背)

Mystery Circleも第13回だそうです。私が参加し始めたのは 第6回なんですね・・。なんと 一回もお休みせずに参加しています。偉いぞ・・自分。


nekoze.jpg


5月のお題:
「僕のかわいい共犯者」で始まり
「なぜなら、気に入られること以外に私たちは何を求めているだろう?」 を含む文を終盤に使うこと。
 (お題の出典:「悲しみよこんにちは」 
          フランソワーズ・サガン)

* * * * *





「僕の,かわいい共犯者。」


「ユウト、誰だよ、その娘ぉ?」
コンビニの駐車場。
興味津々尋ねるのはクラスメイト。
って言ったって、コイツらとは学校でほとんど会うことが無い。
ここに来たら会える、それだけの関係。

親しすぎず、かといって冷淡すぎない程度の微妙なトーンで、
軽くそう答える。
ある時間帯一緒にいるからって 『仲間』って訳じゃない。
僕の世界は今までずっと、そんな風に閉じていた。

僕は、制服姿で店の前に現れた文緒に向かって真っ直ぐに進む。



「あんな事あっても やっぱりまだ来るんだ。」
「あ・・あなただって、来てるじゃない。
 ち・・ちょうど良かった・・これ。」
差し出すのは 僕のタオル。
貸したときより綺麗でふんわりしてる。

「・・・ありがとう。」

俯いたまま、佐川文緒はそう言うと,右向け右、
カクカクと身体の向きを変え、店のドアに手をかけた。
咄嗟に 僕は彼女の腕を掴む。


「佐川さ、まだあの店員のニイちゃんの前でうじうじやる気?」

「う・・う・・う・・・うじうじって・・・。」

「じゃあ、何? 今度はちゃんと、話しかけんの? 
 あ、デエトに誘ちゃったりする訳?」

「そ・・そんな・・。私はただ・・」

「ただ?万引きの共犯と間違われて、最後まで疑ってた
 嫌味なヤローに  まだ 未練たらたらしてんだ。」

「あ・・あなたこそ、自分が万引きと間違われた店の前で 
 また たむろしてるじゃない。」

「オレぇ?・オレはいいの。あんなの珍しくもないんだから。」

「とにかく・・こ・・こ・・こんな風に 
 い・・・一緒にいたら誤解されちゃう。
 やっと信じてもらえたのに。」
文緒は いきなり身体を捩って、僕の手を振りほどいた。

ドアを押す勢い良さも束の間、出て来る客に不器用に先を譲る。
譲り方さえモタモタしてて タイミングが悪い。
店内に入ると、いきなり読みもしない雑誌の表紙を眺めてる。

挙動不審。情けない・・。

どうせ 店内を何周もして 欲しくも無いコロッケパン一つ
やっとのことで選ぶんだ。
レジで、あのすかしたヤローに、もそもそと金を出し 
小声で「コレ下さい」って言えれば まだマシ。
死にかけの蚊だって も少し元気だろうよ。ホント。

☆ ☆



真面目な学生にも 悪ガキにもなりきれなくて
コンビニ前にしゃがんで 毎日日暮れの空を眺めてた。
入れ替わり立ち代わりやって来る客の中、
毎日やって来る彼女に気がついた。

そう 僕は文緒をもっと前から知ってたんだ。

入学式の第一印象・・「すげぇ猫背」。
背中丸めて 首引っ込めて。
意に反して伸びすぎた長身を、
折りたたんで隠そうとでもするみたい。

「目立ちたくない気持ち」を人間の形にした感じ。
まぁ、それでも 女子の中では頭一つくらい飛び出していた。

すっきり立ってりゃ 案外スタイル悪くないし 
重たい前髪さえ何とかすりゃ きっと顔だって
そんなに悪くない。
ま、美人っていう程じゃないけどね。

* *

毎日ここのコンビニに通う理由は すぐ解った。
アルバイト店員のアイツ。 爽やかすぎる笑顔。
この店で推奨してるらしい、客への一言の語りかけ。
「今日はいい天気でしたね。」「あ、それ美味しいですよ。」
エトセトラ、エトセトラ・・。

自分よりずっと小柄な男の前で
見てる方が恥ずかしくなるくらい顔、赤くして
チャリ銭ぼろぼろ落としたりして、うろたえる。
「またお越し下さいね。」
に送られて、出て来る時は地面から身体、浮いてる。

笑わせてくれるじゃん。 
僕は 文緒がやってくるのが毎日の楽しみになっていた。
近くで見たい気持ちに抗えず、文緒が来る頃僕も
店内に入るようになった。
もちろん目的は彼女のウォッチング。
(ストーキングじゃないよ 断じて)
それが 間違い・・。

今度は店を挙げて、僕を監視状態。
まぁ、想像はしてたけどね。
やましいところはないので 
澄まして雑誌なんかを立ち読みしてた。

結構毎日楽しかったんだ。僕も暇だしね・・。


* *

あの日の文緒は全身で、「決意」を現していた。
といっても 猫背はそのまんまなんだけど。

おや、今日は雰囲気違うぞ・・
文具の棚の途中で立ち止まって見ていると
緊張した面持ちで レジに向かう。

500円玉をレジに置くと、あの店員に商品を差し出す。
「あ・・あ・・あのっ・・こ・・こっ・・この・・」

意味不明。

爽やか店員の怪訝な顔。
コイツ、もしかしたら物凄く鈍いかもしれない。
毎日自分目当てに来る女の子が、キミに話しかけたがってんでしょ。
解んねぇかなぁ・・。

文緒は 青くなったり、赤くなったりしながら 
もごもご口を動かすだけ。
商品のパンを文緒が離さないので レジも打てない。
店員の笑顔が少し固まる。
後ろに並んだ客が 舌打ちをする。
僕を見張ってた店長が あわててもう一つのレジを開けに走った。

折りしも、携帯が震えたのでポケットに手を入れた。
どうせオフクロだ。
音楽にも興味が無くなってから 着メロも使ってない。
着信音 サイレント。ただブルブル震えるだけ。

聞かなくたって解ってる、言いたいのはこれだけ。
─まっすぐ帰って来なさい。
出来の悪い方の息子が悪い連中に惑わされ
これ以上問題を起こさないように。

曰く、学校に呼び出されるなんて なんて恥ずかしい。
お兄ちゃんは そんなこと絶対しなかったわ。
そう、兄貴は親のお気に入り。学校の先生の お 気 に 入 り。

聞きたくなくて シカトしてポケットの中で電源を切った。
コノ デンワハ ツナガリマセン。

* *

結局 文緒は何も話せず、いつもどおり。
やたら時間がかかっただけ。
文緒を見送る店員の笑顔は薄っぺら。
ぺろんと剥がしてやりたかった。
彼女がレジから離れたとたん、笑顔がすっと退き、
店長に目配せしたのが気になった。



「ちょっと、キミ 来てくれるかな・・? そこの女の子も。」
文緒を追うように店を出ると、後ろから店長が呼び止めた。


* *

ポケットの中には疑われるようなものなんて入ってない。
罪なんて何もない。

店員はずっと僕たち二人をセットで 怪しんでいたらしい。
文緒が店員の注意逸らして、僕が盗る・・。

大いなる勘違い。

文緒は 僕の事なんか 同じ学校だってことすら
知らなかったのに。


それにしても 無粋なオトコ。
文緒の乙女心なんて 全く気づいてなかった模様。
挙動不審の猫背の、大きな女の子。
恋するオトメって風にはやっぱ・・見えない・か。

無罪放免。
釈然としない。


* *

「何か話すつもりだったんじゃないの?アイツに。」

数歩先、肩を落として歩く文緒に、初めて声をかけた。
憧れの店員には疑いの目で見られ、
僕みたいなのとつるんでると思われてた。
ショックは大きいだろう。

クルっと振り返った文緒の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃ。
千年の恋も冷めるかも。

あわてて腰に下げてたタオルを放り投げた。
「きったねぇタオルだけど、拭け、顔。」



「お・・お日様みたいだって・・思ってたの。」
タオルを不器用にキャッチして 
彼女は俯いたまま唐突に語りだした。

「コ・・コンプレックスとか心の病気とかイ・・イジメとか
 色んな暗い事や重いこと、辛いことになんか
 まだ一度も出会わなくて
 し・・幸せで、 笑って過ごしてるのが ふ・・普通で・・

 そんな人がいるって か・・神様は不公平だって思いながら
 ・・・そういう人になれなくっても 
 もう しっ、仕方ないけど
 だけど、そういう笑顔の人に話しかけられたら 
 そ・それだけで嬉しくて・・」

背中がどんどん丸くなる。
大きな身体は居心地が悪いとでもいうように。 


「自分から話しかける事ができたら 
 か・・変われそうな気がしたの。
 少しだけ お日様の方向いて、
 わ・・笑える気がしたの・・。」

コンビニの外のゴミ箱をコツン、コツン蹴りながら 
文緒の言葉を聞いていた。
何に対してだか解らない けど、何だか 少しムカついた。

「何であのニイちゃんが 
 そんなに羨ましい人生送ってる人だって思うわけ?
 第一こんなシケた店でアルバイトしてるんだぜ、
 ビンボーかもしれないし、
 カン悪そうなとこあるから
 オンナに振られてばっかかもしれないし 
 あの店長にいじめられて 円形脱毛症かもしれないし。」

「そ・・そうだとしても・・ううん、そうだとしたらもっと・・
 あ・・あんな風に・人の目を見てまっすぐ、
 あんな風に笑顔になれて
 そういうの・・そういうのって凄く、大事で
 私にとって・・私・・私は・・。」

まっすぐな笑顔・・っか。お日様みたいなヒト・・か。
そういえば 僕は最近 誰の目を見て 笑顔見せたっけ。


「『ありがとうございます』も『またどうぞ』も
 こっ、『このパン 美味しいですよね』・・だって
 あなたには つっ・つまんない店員のセリフかもしれないけど 
 だっ、誰にでも愛想いいんだろうって 
 わ・・解ってるんだけど 
 それでも 私のき・・希望っていうか、なんか こう・・。」

真っ赤な顔して 必死で言葉を探す文緒を見て
何だか とことん付き合ってやろうじゃんって気になっていた。
意外と僕は、気の長いヤツなのかもしれない。

「なんかいいなって・・だからここ、来たくて
 あの人の笑顔見たくて・・すごく・・気に入ってて・・。」

「『気に入る』じゃなくて『ホレてる』って言うんじゃない?
 そういうのはさ。
 ただアイツの顔 見てたくて、話がしたいんじゃないの?」

「そ・・そんな風に、そんな言葉が さらっと言えるくらいなら、
 私はこんなに・・こんなに 。」
「こんなに?」

「ひ・ひとりぼっちじゃなく・・」


    
下ろした片手を握り締め 
もう一方の手に持ったタオルで鼻水を乱暴に拭い、
いきなり回れ右して 文緒は走って 帰って行った。

鈍くさい走り方。小学生のかけっこだってもっと速い。
その上あれ・・僕のタオルなんですけど。




その日の話は それでお終い。
だけど 文緒の言うことが少し解る気もしてた。
あのオトコの笑顔が僕も好き、とか そういうのじゃないよ。


☆☆☆



店から文緒が出てくるのを待った。

僕に気がつかない振りして通り過ぎようという、
ぎこちない動き。
かえって意識してるのがバレバレ。

「喋って来たの?あの笑顔ヤローと。」
「う・・うん。これが・・最初で最後。」
意外と明るい声だった。
並ぶと文緒の方が少し背が高いのがわかる。

「レ・レジの後ね、『さよなら』って言ってきた。」

「何だよ、それ。」

「お日様になんか 一生気に入ってもらえなくてもいい。
 し・・仕方ないよ。私はわたし。こんなだし・・。」

「こんなって、どんなだよ。」

「ち・小さいときから 身体ばっかり大きいのって・・解る?
 あ・甘えたって 全然可愛くなくって、
 何やってても ”そんな大きいのにまだできないの?”って
 大きく見えたって、なっ・中身は全然で・・。」

確かに「大きいねぇ」なんて子供を褒める言葉かと思ってた。
でもさ、大きくても元気に生きてる娘、いっぱいいるよ。
 
「ち・・ちゃんと喋れないし、喋ったって相手、面白くないし
  笑い顔引きつって、もう笑い方解んなくて・・。
 運動部誘われたって、すぐにがっかり・・っていうか
 あきれられちゃうの・・解ってるし・・・。」


文緒の背中を見つめている内、僕の中で何かがパチンと弾けた。

「佐川と話すのむっちゃ面白いよ。
 面白いし、すげーと思う。 佐川って勇気あるよ。」

弱くてダメな自分を見つめる勇気って、確かにあるはず。
文緒はきょとんとした顔で振り向く。

「佐川の話 滅茶苦茶で下手糞で聞き取りづらくて最悪。
  ・・だけど オレもっと聞きたいと思ってる。」

何言ってんだよ 自分。だけど今 凄く文緒に告げたかった。
自分自身にも言いたかった。

「お日様が気に入ってくれなくても お月さまでもいいじゃん。
 星だって上等。 信じろよ。
 アンタはちゃんと気に入られるよ。
 気に入られてるよ。自信持ちな。」
 
親が、教師が 僕のこと気に入ってくれなくてもいい。
僕のこと気に入ってくれるヤツが 1人でもいたらそれでいい。

猫背のまま少し顔上げて、文緒がくしゃっと笑顔を見せた。


お日様の笑顔でもお月様の笑顔でも どっちだっていい。
僕はこの笑顔が「気に入った」。
手を伸ばして 文緒の前髪をちょいっと摘んで持ち上げたら、
意外と広いおでこ。

「手始めに オレの前ではしゃんと背筋伸ばしてみない?
 ほれ、お日様に顔向けて。」

顔を上げた文緒の目に、澄んだ青空が映る。
おずおず背筋を伸ばす姿を見て
僕は、朝顔の双葉が開いていく映像を思い出した。
小学校理科・・あれ、好きな科目だったっけ。

背を伸ばし深呼吸し、彼女は僕を・・・見下ろした。
笑顔だった。
その方がいいや。ずっといい。

「でさ、オレ思うんだけど
 いきなりショボい万引きの共犯にさせられちゃったままって
 なんか 悔しくない?
 どうせなら、もっとでかいこと一緒にするとかさ・・」

「え?た・・たとえば?」
「うーん、コンビニ強盗とか?あのニイちゃん人質で。」
「だっ・・だめっ、だめっ!それはダメ。絶対ダメ!」

「何そんなに力入ってんの?冗談だよ。
 犯罪ほど佐川に似合わないものないし。」

「だって・・だって、やっと『さよなら』してきたんだから。
 明日から もうここ、来ないんだから。」

勇気振り絞って、初めての一言がホントのお別れの『さよなら』。
この娘らしいや。



「じゃあさ・・、こんなのはどう?
 明日 二人で手をつないで登校する。」

文緒は 目をまん丸くして僕の顔を凝視した。
耳まで真っ赤になるのに数秒間。




 
少しずつ日が翳って行く、コンビニの駐車場、
文緒が笑うことなら 何でもいい。
僕は思いつくままに喋り続けた。

外野の冷やかしも、通る人の目も何にも気になんかならなかった。

「君に気に入られること」以外 今、僕は何を求めるだろう。




メロディさんの音楽教室

猫の大好きな心優しいお友達 melody♪さん。彼女にイメージを頂いて お話を書きました。
勝手に創作した部分もたくさんありますので ご了承下さいね。

久しぶりの 童話です。深く考えず、にっこり笑ってもらえたら うれしいです。 では どうぞ。



melody.jpg







メロディさんのおうちには、
大きなピアノのある、すてきに日当たりのいい お部屋があります。

黒猫のななくんはいつも足をきれいにして 爪もちゃんとといで、毛なんかも散らさない おりこう猫なので

そのお部屋の いちばん日当たりのいいところで
好きなように寝転んでお昼寝します。



今日もメロディさんは 
素敵な春の曲を奏でています。

春の日には花の咲くような曲
夏の日には水の音のする曲
秋の日には葉っぱたちのささやきが似合う曲

冬は・・寒がりのななくんのために
ほかほか心が あったかくなる曲

メロディさんの弾くピアノはいつも
ななくんを ふかふか 幸せな眠りに
連れて行ってくれるのでした。



でも ななくんはこの頃メロディさんの奏でるピアノの音の中に
賑やかだった昔を懐かしんでいるような
ちょっと寂しいつぶやきが 聞こえてくる気がします。

一時 たくさん通ってきた音楽好きの子供たちも
もう すっかり大人になって
今では ご近所もお年寄りばっかりの住宅地になっていて
新しくピアノを教えてくださいと
やってくる子どもが なかなか いないのです。

あの ちょっぴり乱暴だったり 
指が上手く動かなくって とたとたと、たよりなかったりする
あの、子供らしい鍵盤の音・・
メロディさんは なによりもその音が大好きなのでした。

(ななくんは どちらかといえばメロディさんが弾いているほうが、眠りやすくって 良かったのですがね。)







トントン カリリ・・

何の音かしら?

ある日のこと。
ピアノの部屋の大きなガラス窓のところで音がします。
外を見ますと 一匹のとらねこが 座っておりました。

「あらあら、すてきなとらさんだこと。」
メロディさんが 窓を開けて少しお相手をしますと
とらねこは、すりすり 甘えてきます。

とらねこは ゆっくり遊んだ後、何か言いたそうな顔で 
振り向き、振り向き 帰って行きました。




コリコリ コツン・・

次の日は ぶちねこがやってきました。

「あらあら 今日はぶちねこさんだ。昨日のとらさんのお友達かしら?」

ぶちねこも 窓のそばからはなれません。
「今日はピアノの生徒さんが来ているの。あまりお相手できないわ。」
メロディさんが言うと ぶちねこはその場に丸まって座り
長いこと そこから離れませんでした。


ゴツゴツ ガリン・・

その次の日は さびねこです。

窓のそばで ゴロンとしてメロディさんを呼んでいます。
その日は メロディさんは長い曲をを弾いていましたので
そのままにしておきますと
曲のあいだ中、さびねこは それはそれは気持ちよさそうに
うっとりと寝そべっておりました。





「この頃 おきゃくさまの多いこと。」

メロディさんは 近頃のこのようすについて
嬉しいけれど 少し不思議に思いながら
ななくんの ふかふかの黒い毛をなでながら 言いました。
今日は ぽかぽか 気持ちよい日差し。
ななくんに寄り添って お昼寝したい気分です。


コリンコ コツンコ トンカラリン

不思議で楽しい音がします。
おや、と見ると小さなおきゃくさまが
窓のところに立っています。
大きなシルクハットを被り、だぼだぼの黒い燕尾服、
胸と袖のところから真っ白なシャツが覗いています。



おやおや おしゃれなおきゃくさまだこと。
そして メロディさんは そのおきゃくさまに
長くてふさふさの しっぽがついているのに気がつきました。

「オホン、ここは メロディさんの音楽教室ですね。」

「ええ、ええ、そうですよ。
 子どもから大人まで 音楽のお好きな方なら 
 どなたでも お教えいたします。」

「実は、昨日と一昨日、そうして一昨昨日、
 子どもが ここにお邪魔したのですが
 なにしろ照れ屋なもので うまくお願いすることが
 できませんでした。」
メロディさんは 昨日と一昨日と一昨昨日のことを思い出し
なるほど、と思いました。
毎日やって来た猫さんたちは 音楽が習いたかったのね。

「そうですか、それでしたら どうぞ いつでもおいで下さい。
 そうそう・・ちょうどいい楽器がたくさんあるわ。」

親猫の生真面目な物言いが 可笑しくて、メロディさんはニコニコしてしまいます。
ななくんが子猫だったときお気に入りだった音のなるおもちゃ、
私がこどもの頃遊んだおもちゃの楽器も、きっと物置のどこかに眠っているはず。

ななくんは ピアノの下に隠れて片目をそっと開け、様子を伺っています。
(実は ななくん、おうちの中で育ったものだから、他の猫がちょっと苦手なんです。)


「それでは 私たち来てもよろしいのですね。
 ありがとう、ありがとう メロディさん。」

親猫はメロディさんの手を取って ぶんぶん振りました。
あんまり振り回されるので メロディさんが目をまん丸にしていると
今度は ぎゅうぎゅう抱きしめてきました。

「やったー。ピアノ、ピアノ・・」

いつの間にやってきたのか、子猫たちもぴょんぴょん飛びついてきます。
メロディさんがよろけて、ソファに倒れこんでも おかまいなし。
ふかふかの猫たちが メロディさんの上に登ってぐるぐる喉を鳴らします。

「そんなに一度に乗ってきたら苦しいわ・・」






くすくすくすくす・・笑いながら 目が覚めました。

「あら、あら、あら、眠ってたのね。」
お腹の上に乗って ぐるぐる喉鳴らしてたのは ななくんでした。

─メロディさんたら 他の猫の夢なんか見ちゃってさ・・・。
ななくんは ちょっぴり やきもちです。


とんとん かりり・・

「あら、ななくん見て 本当にまた、やって来てくれましたよ。」

今日は親猫に連れられた3匹の子猫です。親猫の毛並みを見て
メロディさんは おやおや・・と思います。
だって 胸と足のところがふさふさ白い毛の 黒猫さんだったんですから。







メロディさんのおうちには 小さなおもちゃのグランドピアノ
ぽんぽん踏んだら音の出る、鍵盤の絵のついたシート
ころんと転がしたら きれいな音のする大きなクッション

その他いろいろなものがある すてきに楽しいお部屋ができました。

メロディさんがピアノを弾くと、今日も猫たちがやって来て
それぞれ気に入った楽器を鳴らして遊びます。

ななくんはのら猫さんに少しずつ馴れて
上品な足の拭き方、毛を散らさない優雅な歩き方など
マナーの先生を引き受けてくれています。

今日もメロディさんの音楽教室は大賑わい。

でも、みんなが 一番大好きなのは・・
(ほらほら、そっと覗いて見てください)
 
メロディさんのピアノを聴きながら 一番暖かいところに寄り添って
うとうと お昼寝すること

・・みたいですね。


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すずはら なずな

すずはら なずな

どれも短いお話ですが 
一つでも心に残ったら嬉しいな。

過去記事どこにでも、
コメントOKです。
舞い上がって
喜びます。

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