STAND BY ME

生きることにちょっと 不器用な子どもたち、もと子どもたちの 短いお話を 綴っています

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拍手お礼

赤ずきん

えー、なずなです。

最近1か月に一個、どっかに書いたものを載せるという状態が定着しております。
ほそぼそながら、「お話作りが趣味」の人でいたいと思っています。

このところ、時折 拍手をくださる方がおられ、どなた様か存じませんが 大変うれしく思っています、ということを ぜひぜひ伝えたくて、ここに記事を上げました。

涼しくなりましたね。

皆様 ご自愛くださいませ。
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「探しもの」

森の中で、幼い私は何かを探しているの。
大きな木の根元に あるはずのものがない。
この木じゃ、なかったのかな
場所を間違えたのかしら。

それが酷く不安で 気になっていて
だけど 自分が探しているのが
なんだかわからない。

森はどんどん暗さを増し
木々はずんずん大きく太くなり
私は森に飲み込まれる。
そんな夢を繰り返し見る。


ナツキは深いため息をつき、その「探し物」の夢の話をした。
抱きしめようと手を伸ばしても、かたくなに身体を強張らせ
そんな風に慰めて欲しいわけじゃない、と言った。


大事にしてて失くしたものとかある?
そういうのが気になってるとかさ。

んとね・・
小さい頃のお気に入りは大きなうさぎのぬいぐるみ。
いつも一緒。出かける時も、眠るときも。お風呂にも連れて入った。
あれ・・いつから無くなったんだろう。
ナツキは眉をひそめ、爪を噛んだ。
何かを思い出そうとするときの彼女の癖だ。


ぬいぐるみのうさぎさんね、女の子だね、やっぱ。
うちって兄弟ヤローばっかじゃん、そういうのって全然なくってさ
たまに女兄弟のいる友達んち行くとさ、やたらぬいぐるみ触ったりした。
弟のことあんまり言わないけど、歳離れてるから あんまり関わりないのかな?

うん。・・・。
弟が生まれ、その世話でお母さんは忙しくなった。
以前はこまめに洗ったり干したり、繕ってくれたのに
もう、してくれないの。

そうだ、弟と友達が引っ張り合って、耳がちぎれ
ジュースをこぼされてシミができた。




泣きながらお母さんに訴えた。
きれいにしてよ。直してよ。

最初はなだめてくれたお母さんも
次第に不機嫌になり、
いつまでも聞き分けないこと言わないの!お姉ちゃんでしょ。
お母さんは私の手から うさぎを取り上げ
取り上げて・・どうしたんだっけ・・。

ナツキはまた爪を噛む。



取り上げ・・・捨てた。

びくりと身体を震わせると 宙に目を据えたままそう呟き
彼女は長い沈黙の後
静かに静かに泣き始めたのだった。


こども産むの怖い。
優しくできないかもしれないの。
私は弟に全然優しくできなかった。
こっそりつねったり叩いたりした。
家を出て、家族と顔を合わさずないで良くなってほっとしたの。
こんな私が家族をうまく作れるわけがない。

その日 僕は黙って彼女の手を握り続ける以外何もできなかった。


彼女の両親に電話をし、子供ができたことを報告した。
成人した弟が出、気弱そうな母親の声が「おめでとう」と「ありがとう」を言った。

気が早いかもしれないけれど、お祝いに贈りたいものがあるの。
いつかこんな日がきたら ずっと そうしたいと思ってた、
そう彼女の母親は言った。

数日後、宅急便で送られてきたのは うさぎのぬいぐるみ。
包みを開けたナツキは 「あっ」と言ったまま箱の中を凝視し、ゆっくりと手を伸ばすと 中からうさぎを抱き上げ 抱きしめ、頬ずりした。
─探していたのは このこ

「オレ全然覚えてないんだけど あの時はごめん。うさぎのぬいぐるみ、おふくろ同じのを探すのにそりゃ苦労してたよ」
ナツキの電話に 弟がそう言った。

「わたしこそ、いろいろごめん」
ナツキが言う。
「何?何の事?」
弟は笑っていたという。
電話の向こうからかすかに聞こえた声は、思ったよりずっと明るかった。


大きくなったおなかを庇うように横を向いて、ナツキがうさぎを抱いて眠っている。
あれから探し物の夢は見なくなったらしい。

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すずはら なずな

すずはら なずな

どれも短いお話ですが 
一つでも心に残ったら嬉しいな。

過去記事どこにでも、
コメントOKです。
舞い上がって
喜びます。

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