学生服の 箱 開ける (100字)
くん、と嗅ぐ。
真新しい布の香りだ。
深い黒色、曇りのない金釦。誰の形でもない学生服。
日々、たくさんのものをしみ染込ませ、3年を終えた時、
いい思い出の品になりますようにと、
母はただ祈っている。
真新しい布の香りだ。
深い黒色、曇りのない金釦。誰の形でもない学生服。
日々、たくさんのものをしみ染込ませ、3年を終えた時、
いい思い出の品になりますようにと、
母はただ祈っている。
生きることにちょっと 不器用な子どもたち、もと子どもたちの 短いお話を 綴っています