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生きることにちょっと 不器用な子どもたち、もと子どもたちの 短いお話を 綴っています

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キミと帰る場所

今年の年末年始はバタバタしてて 
それよりも ずっと 「お話を創ること」を忘れていました。
締切も文字数もちゃんと守れなかったのですが お題だけ借りて 書かせていただきました
こちらへのUP、ずいぶん遅くなりましたが・・・。

お話を書くワクワク感を 思い出させて頂いてありがとうございます。

*********************************




もういい、初詣行かない…なんて言った日にゃ あれこれ詮索されるに決まってる。
朝から黙って母親に着物を着せてもらい 何事もないそぶりで外に出た。

クリスマス、「彼女」へのプレゼントとしては微妙な タオルのギフトセットを「お返しに」貰った。
ノリの悪い充の様子も全く気にしない顔で 
「初詣は絶対着物着るから、期待してね」
一人で喋りつづけ 結局何の約束もないまま年が明けた。

 行く当てもないのに駅に着き、改札前で柱にもたれて立っている。
能天気なメールが友人達から来て、一個ずつ返信している内に何とか時間が過ぎた。
そのくせ「暇?出て来ない?」の一言が書けない。

充からの古いメールを読み返し 削除しようとして 指が止まる。
何やってんだ 私。
自分が馬鹿で ダメダメで どうしようもなくちっぽけに思える。
─でも 好きだったんだよなぁ…
思ったとたん 涙がボロボロこぼれてきた。


「じゃあな、オレ帰って 餅食って寝るから」
人波の中、聞き覚えのある声がした。
幼稚園から高校まで一緒、くされ縁のジンタに違いない。

泣き顔を見られたくなくて 柱に隠れてしゃがんだのに 見つかった。
「おい こんな所で何やってんねん?腹でも痛いんか?」
声を出すとしゃくりあげそうで 黙ったままぶんぶん首を横に振る。

「食いすぎか。餅何個食った?」
うら若き乙女がそんなに何個も餅食うか。
「歩かれへんのか?ちょっと待っとけ」
答える隙もなくジンタはそう言うと 自転車を押して戻って来た。
「乗れ ほら」
着物の袖を引っ張られ 荷台に横座りする。
「アホ ちゃんと跨げ」
着物なんですけど、私。
思い出した。
ジンタ、お嬢さん学校の子と付き合った時 横座りの彼女を乗せて転んで、
その後喧嘩になって 別れたんだっけ。


「で、どこ行く?トイレ借りにコンビニか?薬屋か?彼氏ん家か?」

 
「行きたいとこなんか、ない」


言われるまま 着物の裾 摘み上げ自転車を跨ぐ。
鼻をすすりながらも 自分の姿にちょっと笑える。

「何や、それ。じゃ、どうしたいんや 今」

後ろ姿のままで聞いて来るジンタの言葉に やっと声 絞り出して言う。

「…帰りたい」




家に向かって ゆっくり流れだす風景を見ながら 少しずつ涙が乾いていく。
手をつないで通った幼稚園の頃、男女混ざって遊んでた小学校の頃 ちょっと意識した中学の頃、
それぞれの恋愛相談し合った高校の頃。
見栄張らず素直だったのはいつ頃だったろう。

私は どこに帰りたいのかな。

「ごめん、ちょっとだけ 甘える」

頭をコツンとジンタの背中に付けた。


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すずはら なずな

すずはら なずな

どれも短いお話ですが 
一つでも心に残ったら嬉しいな。

過去記事どこにでも、
コメントOKです。
舞い上がって
喜びます。

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