FC2ブログ

STAND BY ME

生きることにちょっと 不器用な子どもたち、もと子どもたちの 短いお話を 綴っています

「せ」~背中

senaka.png


「オイ。」

ナツの 赤いランドセルを ぶらぶらさせながら、
数歩先を歩いていたタカユキが 立ち止まり、急にしゃがんだ。

手の平を上にして 後ろに回した腕と、斜めに傾けた背中が
おぶってやるから早く乗れ、と言っている。


「ちんたら歩いてたら、遊びにいけねぇんだよ。」

「送り届けなかったら、オレがセンセに怒られんだ。」

タカユキは怒った声でそう言った。






体育の時間、ナツは足をくじいた。
送って帰るように言われたのは、近所のタカユキだ。

小柄なナツにとって、
最近いちだんと身長の伸びた タカユキのその背中は 
すごく大きく、広く感じた。

              
コトン コトン 揺れる地面を見ているうちに  
だんだん恥ずかしさが 消えていく。

温かくて、安心な気持ちになる背中だった。



              
コノ子ヲ 泣カシタノハ ワタシダ・・。

この前の 給食の時間を思い出して ナツは胸がチクンとした。


そう、まだ、謝ってない。

急に心臓が ドクンドクン 鳴り出した。
背中を通してタカユキに 伝わりそうな気がする。







☆  ☆  ☆


あの日 タカユキの皿を すり替えた。
周りの子たちも見ていた。  
少し意外そうな顔をして。

人気の給食のおかずの、大盛りを狙って、
互いの皿を すり替えるのは、
男子の中で流行っているイタズラだった。

ナツは そんな悪ふざけの仲間に入った事は 一度もない。
タカユキと幼なじみといっても、
あまり 気軽にしゃべることも なくなっていた。


「オマエか、それ、オレんだろ?」
タカユキが指さしたのは、いつもの悪ふざけ仲間の男子だ。

もちろん、その子は犯人じゃない。

ナツはドキドキした。    
次はきっと 私に聞いてくる。
それとも、あの子が、私がやったこと バラすかな・・。


けれども、だれもナツのことを言わず 
タカユキもナツを問い詰めない。

無責任なニヤニヤ笑い・・。
クスクス笑い・・。
とぼけて、からかう男子たち・・。


言い出すタイミングを無くして ナツはうつむいていた。

結局 日直の「いただきます」の声がかかって、それも静まり
タカユキは猛然と 自分の机の給食を 食べた。

そして一番に 昼休みの校庭に飛び出して行った。


皿を片付けているタカユキの 頬に
ぽろりと 光るものを 見てしまったのは、
隣の席の ナツだけだったはずだ。




コトン、コトン 地面 揺れる

トクン トクン 心臓が 鳴る

謝らなくちゃ・・

謝らなくちゃ・・・・

だんだん家が  近づいてくる。



      
背中に おでこを 押し付けたまま

「ごめん。この前、タカユキくんのお皿 すりかえたの 私なんだ。」

やっとのことで、ナツが言うと

背中が、静かに      左右に揺れた。
              

コメント

「リボンをかけた小箱」には

恥ずかしくって言えなかった 
照れくさくって 正直に言えなかった
そんな ピュアなココロがはいってるんですよね。

「背中」で あたためた思いも きっと 同じ・・・かな?

内気な日本人

ならではだな~って、微笑ましく読みました。
照れくさくって、素直になれないってモチーフは、
実は、じゃんじゃん使いたいモチーフだけど、
私自身も照れくさくって、
上手く書けないんですよね~(汗)
強いて言うなら、『リボンを掛けた小箱』かな。
http://page.freett.com/Amice/present01.html

あぁ、もっと恋愛しとけばよかったなぁ~(しみじみ)

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://nazunashortstories.blog12.fc2.com/tb.php/15-43d43642

 | HOME | 

Monthly

Categories

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Appendix

すずはら なずな

すずはら なずな

どれも短いお話ですが 
一つでも心に残ったら嬉しいな。

過去記事どこにでも、
コメントOKです。
舞い上がって
喜びます。

管理者ページ