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STAND BY ME

生きることにちょっと 不器用な子どもたち、もと子どもたちの 短いお話を 綴っています

「に」~虹の橋

「虹の橋」の話を知っていますか?
ご存知ない方(ご存知のかたも) yuさんが訳して素敵なイラストをつけているので 
そちらのページ
をぜひ見てくださいね。
2つの「虹の橋」の話と yuさんの作ったお話があります
こちらの 挿絵もyuさんから頂きました。









タクを追いかけて シュウジも教室を飛び出した。

驚いたり おもしろがったりして騒ぐ みんなの声 
あわてて静かにさせる 先生の声

─よそ見してるのを先生に注意されたから タクがキレた

そういう声も 聞こえたけど
違う 違う そうじゃない

シュウジは 思う。



授業中 タクがぼんやりと 雨あがりの校庭ばかり見てたのを、
シュウジは その前から 知っている。

はじかれたように 立ち上がって、教室を飛び出したのは
先生の 言葉とは 全く関係ない
そんな 気がする。

階段を降り、くつ箱に急ぐ。

下足場に タクの上靴が ばらばらに 脱ぎ捨てられていた。 
タクの足は 学年一速いから 普通に追いかけたって
追いつきっこない。




   昨日、お母さんが タクのことを話してきた。

   なんだか 変な中学生と一緒にいたのよ。
   スニーカー踏んで だらしないシャツの着方して。
   眉毛なんかも こーんなに細くしちゃってて・・。


   そんなことは とっくに 知っている。

   タクは かまってくれる人が 好きなんだ。
   タクは 誰よりも 寂しがりやで
   タクは 誰よりも甘えん坊だ。

   そんなことは とっくに解っている。

   気になってたのは そんなことじゃない。



   最近 教室でも外ばかり見てて 
   ゲームの話にも乗ってこないし
   プロレスのワザも かけてこない。



   「アイツなかなか 死ななくってさぁ。」

   ゲームの悪役キャラの話をしていたら
   急に 怒り出したことがあった。

   「コロシテヤル~」

   プロレスごっこで 叫ぶ子の 
   足を思いっきり蹴って どっかへ行った。


   嫌な 予感がした。
   どう 切り出したらいいか 解らなかった。



   「そうそう ゴールっていったけ あそこの犬。
    死んじゃったんだって。
    かわいそうにね、
    あの子 ほんとに可愛がっていたのにね。」
  
   お母さんは そんな大事なことを 
     最後の 最後に 短く 言った。







やっぱり・・

シュウジがタクを見つけたのは 校庭の隅っこの「砂山」だった。

そこだけ小高くなっていて サッカーゴールがよく見える。

1年生の頃 トンネル掘ったり 水を流して川にしたりして
よく遊んだ。

その すぐ下の茂みのあたりで 
タクは「ゴール」を 拾ったのだった。

家に 子犬を連れて帰ったタクが
その日から どんなに 急いで 家に帰ったことか。

家のカギを 首から提げて 
いつまでも ダラダラとしゃべっては 
シュウジを引き止めていたタク。

そんなタクが 
「ゴール 待ってるから。」

その速い足で 走って帰る。



「ゴール、カギ開ける前から 玄関で待ってて
 お帰り、お帰りって 飛びつくんだよ。」

タクは 何度も 何度も シュウジに その話をした。







「虹の橋 って 知ってるか?」

「砂山」をそっと上って来た シュウジに 背をむけたまま
タクは 話し出した。

雨上がりの空。
タクの 見てる方角に 大きく弧を描いた 虹が見えた。
こんな 虹を見たのは シュウジも初めてだ。

「先に逝ったペットが 待ってるんだって。

 天国の手前にある 綺麗な 野原でさ、
 そこで 元気に 走り回って 遊んでて・・・
 大事にしてくれた パートナーを 待ってるんだって。」

シュウジの返事を待たずに タクは続ける。

「オレ、この頃ずっと ほったらかしてた。
 あっち行ってろ バカ犬って 人の前で言った。
 オレ・・・ 全然大事になんか してなかった。」

タクの投げた石が サッカーゴールの隅に 
コツンとあたって 転がった。





「待ってるよ、ゴール。」


少しずつ 薄くなっていく虹を 
まだ 消えるな と 心で念じながら 
シュウジは タクに言う。

「いつも 待っててくれたんでしょ?」


タクは 転がった石の行方を じっと目で追っている。




「待ってるよ きっと。」


「絶対 タクちゃんのこと 待ってるから。」


顔を上げて タクが やっと こちらを向いた。





顔を見合わせると、
不自然にカットした タクの薄い眉毛に 嫌でも目がいく。

シュウジの視線に気がついて タクは 眉毛に手をやった。

「今日のは 失敗した。」

テレくさそうに 眉毛を触るタクの表情は 1年生の時と 変わらない。


「そんなに 変か?」

「かなり 変。」


タクが ツンと肩をこづいて来る。
シュウジは それをかわして 「砂山」を駆け下りる。









「砂山」の上と下で いつまでも ゴールの話をした。

虹がだんだん見えなくなって 消えてしまっても
まだ ゴールの話をした。




もうすぐ 梅雨が 明け 

夏が来る。



コメント

よかったデス。

melodyさんにも 大事な「虹の橋」。
イメージ壊さなくって 良かった~。

「虹の橋」が たくさんの人を 癒してくれるといいな。



虹のお話ステキでした~♪

雨上がりの空に虹・・・久しく見ていないけれど・・
なずなさんのこのせつなくてピュアなお話で綺麗な
虹が見えたように思います。

タクとシュウジとゴールの姿が瞼に残って消えることは
ないでしょう。
こころにしっかりと刻み込まれたステキなお話を
なずなさんありがとう!

ついてくる?

ついて来る 虹と
ついて来る ワンちゃんの
ふたつの思い出、いいですね。
みんなに 虹の思い出が 色々聞けて 
よかったな、と思いました。

虹の記憶

10年に一度ぐらいの間隔でしか見た記憶が無いけど一番印象に残って
いるのは電車の窓から見た虹で、景色はどんどん過ぎてゆくのに、虹
はしばらくの間電車と同じ速度でついてくるように見えた。

可愛がっていた相棒がいなくなると辛いですね。
昔、野良犬と友達だった頃、学校へ行く時も、海へ遊びに行く時もいつ
も自転車のうしろからついてくる犬の事を思い出しました。

虹の橋

hirononさん 読んでくれてありがとう。
オリオリさん ようこそおいでくださいました。

ネコ好きつながりの方のいくつかのサイトで
紹介されていたこのお話を 
いつか来る お別れの時に、きっと読み返すと思うんです。

オリオリさん、yuさんも 最近 クロネコのデブちゃんと お別れされて
あのページを 作られたんですよ。

絵本や童話には 癒されます。
大切なときに 心を包んでくれた大事な絵本がいくつもあるんですよ。
これからも よろしくお願いいたします。



はじめまして★

hirononさんのご紹介でお邪魔しました
虹の橋の寓話大好きです
去年可愛がっていた黒猫のユーニーを突然亡くし
失語症になってしまうほど落ち込んでいたときに
お友達がこのお話を教えてくれて
なんとか立ち直ることができました
大病をして病気療養中(元気いっばい)ですが
縁があって黒猫とシャム系mixの2匹のママをしています
ステキなお話を伺いにまた遊びにきますね~~

いいお話が増えてゆきますね~

以前、私のブログへ来られるオリオリさんから「虹の橋」のお話のこと
聞いて、どんなお話かなぁ~と思ってたんですが・・・。
なるほど、こういうお話だったんですね。
yuさんの所も拝見して、なずなさんのお話も読んで、
切ないけどいいお話だなぁと、浸らせていただいちゃった・・・

そうです~(*^_^*)

あとは 虹の描写ごとに だんだん消えていくようにしました。
もともとは 最初っから「消えそうな」だけだったの。

イメージ 頂きました、やすみさん♪

休憩タイムです。

雨上がりの空。
タクの 見てる方角に 大きく弧を描いた 虹が見えた。
こんな 虹を見たのは シュウジも初めてだ。

↑ですかね?
(違ってたらゴメンナサイ…)

私は今、お仕事の休憩タイムなのですが、
虹って、見ようとしないと見えなかったりするじゃないですか?なので、ちょっと仕事の手を休め、あたりの空を見回したりしてみました。
昨日雨が降っていたので、虹が出ていないかなぁと。

今日は、虹は出ていないようですねぇ。
残念!!

さてさて、お仕事に戻るとしますかね。

お二人のコメントを読んでから 虹の描写を書き足しました。
大事な風景が 「消えそうな」ばかりだったので・・。

違い わかりますか?(*^_^*)

端から端まで、くっきりとした虹を何回か見た記憶があります。
なんとなく、嬉しくて、いいことがありそうな予感がした。
その後、いいことがあったかどうかは覚えてないけど。。。

こんばんは

新たなコラボですね!!

虹はいいなぁ~!
今の季節、特に梅雨の晴れ間などに見える虹は、
なんかこう、どこかオアシス的な存在ですよね。

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すずはら なずな

すずはら なずな

どれも短いお話ですが 
一つでも心に残ったら嬉しいな。

過去記事どこにでも、
コメントOKです。
舞い上がって
喜びます。

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