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STAND BY ME

生きることにちょっと 不器用な子どもたち、もと子どもたちの 短いお話を 綴っています

縫い針(みんなみんないいこ4)

☆50音順story「ぬ」の時書いたものです。

えっと 今回は 小学生モノなのですが
なぜかカテゴリは「みんな みんな いいこ」です。
タネあかしは 後で。あ、すぐ わかっちゃいました?

nuibari.png




たっちゃんは 授業中 じっと していられない。


窓の外に
おや と思うものが 見えたら
そばに 行って 見たくなってしまう。


それは 信号が 青なのに 
まだ立ち止まってる人だったり

畑で しゃがんで 
何かをじっと みている おじさんだったり

体育館の軒下に ちらりと見えた子猫だったり

はらり と 降りだした 雪だったりする。



そして 何か 気になることがあったら
絶対 今すぐ 確かめてみたくなって 
先生の声が 聞こえなくなってしまうんだ。
 


ジャンバーのファスナーが 
どうして 噛み合って しまるのかとか

となりの席の子の 万華鏡型のキーホルダーの
中は いったいどうなってるのかとか

前の席の二人の女の子の 両方のかみの毛を
そおっと 3つの束にして取って
ふたり一緒にみつあみにしても 気づかれないかとか

そういう ことだったりする





小学校最初の担任の先生は 
よく校庭まで追っかけてきて
みんなが 待ってるから 教室に帰ろうと
抱っこしてでも 連れて帰った。

もう少し大きくなったときの 先生は
そんなに 勝手なことばかりしていたら
必要なことが 覚えられないよ
みんなから 置いていかれるよ
と言った。

他に 担任になった先生も
我慢を学ぶことも 大切だとか

いい加減にしないと 親御さんと相談しますとか

結局 自分のためにならないよ とか
いろんなことを 言った。



たっちゃんは 別に そういうことが
解らないわけじゃない。
最近なんかは ものすごく よく解るんだ。

でも 時々 たっちゃんには 
今 気になったことの方が ずっと ずっと大事に思えて
どうしても じっと授業を受けていることが
できなくなる時がある。




6年の担任の ハルミ先生は ちょっと変わってる。

他の学校から 先生が来るって わかったとき 
情報が早いリュウジが
「前の学校で、生徒をぶっ飛ばしたオンナ」だと言った。
尾ひれがついて とんでもない鬼ばばぁが 来ることになっていた。

だから やって来た先生が 
若くて小柄な 女の先生だったので 
みんなは あれれ と思った。

ハルミ先生は 最初のあいさつで
先生は 縫い物が好きなので 
みんなと家庭科の授業をするのが 楽しみです
と 言った。



ハルミ先生は たっちゃんの 様子を 
だいぶ 長いこと 黙って見てた。

どうして たっちゃんは そうするんだろう
って じっくり考えているようだった。

みんなが「たっちゃんって いっつもそうなんです。」
って説明しても しなくても 
あんまり 関係ないみたいで
たっちゃんの 様子を見てたんだよ。


そして ときどき たっちゃんに
「私の授業って そんなに 魅力ないのかなぁ」
って ちょっと情けない顔して 言った。


そして たっちゃんが 教室を出て行ったときは
何があったから 出て行ったのか
どうしても そのときでなくっちゃだめだったのか
たっちゃんと 長いこと 話してた。

そう 
ぶっとばしたりは 絶対に しなかった。



なあんだ ウソ情報だったじゃん
みんなが 思った。



だから 家庭科のときの事件には みんな びっくりしたんだよ。

それまでにも 理科の時間 たっちゃんは
試験管に 指突っ込んで 抜けなくなったり
観察のため って かえるを山盛り捕ってきて
教室に 放したり・・・・色んなことをした。

家庭科では 指の皮に 波縫いもしたし
何だかひとり 全然ちがう料理を作ったりもした。



たっちゃん、外に飛び出す回数は 減ったけど
ますます 色んなことを考えつくようになっていた。



だから 
実験で 混ぜちゃいけない液体 混ぜたり
バーナーの火で 火事起こしたりだって
時間の問題だぜって 

みんな ハラハラしていたんだ。






で、家庭科・・・。

誰かが 言ったんだ。

ミシン用のコンセントに ぬい針2本差し込んで
バチっと 火花起こす方法。



たっちゃんが やってみないワケがない・・。




たっちゃんが 2本の針を刺しこんだとき
何が 起きたかって?

たっちゃんが ぶっ飛んだ。

それは 火花が出たからじゃなかった。



たっちゃんには 何が何だかわからなかった。
突き飛ばされて 後ろの黒板の下に 
しりもちついて 転がったんだ。









ふたりっきりの 教室で ハルミ先生は たっちゃんに言った。

「命にかかわることだけは 
   先生は 絶対 絶対 許さないからね。」


そして

「先生は 家庭科が 大好きなのに
 針仕事が 大好きなのに

 こんなことで たっちゃんに もし 何かあったら  
 もう 針なんて 私 きっと 触れない。」


そう言うと わんわん 泣き出した。

おとなが こんなに 泣くなんて・・・・。
たっちゃんは 先生の目からポロポロこぼれる涙から
ずっと目が 離せなかった。




☆  ☆  ☆  ☆



「たっちゃん先生、ボタンとれてますよ。おつけしましょうか?」


園長先生が 気づいて 声をかけたら
たっちゃん先生は ニッと笑って 答えたんだ。

「大丈夫です。ボク 針と糸 いっつも持ってますから。」

園長先生の ちょっと 意外そうな 顔を 
楽しげに見ながら 
たっちゃん先生は 続けて 言ったんだ。

「一番大事なことを 忘れないようにする お守りなんですよ。
 糸はおまけです。

 でも 縫い物も 出来た方がいいでしょ?」


そして、フンフン でたらめの
「ボタンつけの歌」 歌いながら
器用に シャツの ボタン つけたんだ。


たっちゃん先生が 
針を使いながら 思い出すのは 


大事な 大事な  むかしの はなし

なんだろうね。


コメント

ヨッピちゃんへ

そう、今日はあっちは メンテ中なのか 全く開きません・・・

そうやって 読んでる人が 自分のことを 思い出して くれるのが 楽しみでもあるのです。(^_^)
一つ上手に背中を押してくれる先生って 嬉しいですよね~。

night_stalker「内藤クン」へ

いきなり「凄いね」のコメントを頂き
いったい何が「凄い」のか ドキドキしました。
怪しい方のようで 怪しい方でないようなので
良かったです。はぁ びっくりした。

ぼちぼちの更新になりますが お好きなときに覗いてください。
ヨロシクお願いします。

絵日記が開けなくって・・・

久しぶりにコッチを覗いたら・・・
たっちゃんがたっちゃん先生だったのか・・・
いい先生に出会えて、いい先生になったのね。

私はとってもおとなしい子で、滅多なことでは発表できない子で・・・
私の良いとこなんか、自分も家族も先生だってわからなかった!
4年生の時にグループに分かれて、全員が司会と書記2人をしなくてはいけない。
自信の無かった私は、司会が回ってくるのが怖かった。
やっと終わった時に、先生が褒めてくれた。
みんなの前で、いっぱい褒めてくれた。 嬉しかったよ。
頑張ったら私でも出来るんだと、自信が付いたよ。 長くなってゴメン!

無題

凄いね・・・。

いろんなこと

やっちゃってくれる子いましたよね~。
周りのみんなも メイワク受けても 嫌いにはならないの

案外 ケガも事故もおこらなかったり ね。
おとなしい子にとっては 羨ましい存在だったりね・・。

こんにちは♪
たっちゃん先生みたいに色々やって、
すごく叱られもしてきた子の方が、いい先生になれるのかな?
なんて思っちゃいました。
たっちゃん先生好きだな~

すみません、名前を変更・・

年代に あわせて 登場する人の
名前をつけているので
「たっちゃん先生の 先生」が
ハルカは 違うかな?と思って。
「ハルカちゃん」は どっちかというと 今の子どもたちの名前だもんね・・。

ぬいこさん!

この話の「ハルカ先生」は 考えてる段階で「ぬいこ先生」
だったんですよ。

ぬいこさんの 素敵にやわらかな イメージです(^_^)

おもいで

誰かが言ってました。
思い出を一杯持っている子は
大人になっていい日々を送れるって!
たっちゃんに乾~杯!

やすみさん

あら なんだったんでしょネ
私なんか しょっちゅう・・・。

今、ここに来て、何か書こうとして、あっと、思ったとたん、
全て忘れてしまった。(>_<)マッタク

コメントありがとうございます(^_^)

じっとしていられない子って、何を考えているのかな
「みんなと一緒」ばかりが いいとは 限らない
ちゃんと おとなになれるのかな。

そんなことを考えてたら 子ども時代の「たっちゃん先生」が
こっちを向いて 笑いました。

どんな場合も ハルカ先生が正解!だとは思ってないけど いい出会いが
出来た人は 幸せだよねって 思って・・・。

たっちゃん先生!

針と糸を持ち歩いてる男性ってゆうのもいいものですねぇ!

>おとなが こんなに 泣くなんて・・・・。
そうそう!
子供の頃は、大人が泣く姿ってちょっとビックリしましたけど、今なら色んなことが理解出来るから、
大人だって泣くこたあるさぁ!
って思いますよね~。

イラストの、“まち針”でしたっけ?
懐かしいですね~!
縫い物の苦手な私は、あまり出番のない
お裁縫箱です・・・

信頼し、信頼されるって、人と人の。。。その関係が、たとえ、先生と生徒、親と子、。。。違っていても一番大事だよね。

はじめましてー

ほのぼのしてステキ。。(´ω`*)

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すずはら なずな

すずはら なずな

どれも短いお話ですが 
一つでも心に残ったら嬉しいな。

過去記事どこにでも、
コメントOKです。
舞い上がって
喜びます。

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