STAND BY ME

生きることにちょっと 不器用な子どもたち、もと子どもたちの 短いお話を 綴っています

「よ」~四葉のクローバー

実は 私の大事なお友達の思い出話と
自分の思い出話のミックスです。
どこがどうって・・?
それは ナイショです。

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「いっぺん 泣いて。」

教室の隅にわざわざ呼ぶから 何かと思ったら
手を合わせて カツヤは言った。

小学校6年間、組がえでほとんどの子が一度は同じクラスになる。
サナエとカツヤは 結構縁があるのか 
何回も 同じクラスになっている。

「泣き顔みたことない女子って オマエだけなんだよなぁ。」



女の子に限らず 6年の間にみんなよく泣いた。
転んで泣く、出来なくて泣く 失敗して泣く。
イジワル言われて泣く、けんかして泣く しかられて泣く。
・・・感動して泣く ってのもあったなぁ。



この間の球技大会では 決勝戦で競り合った末負けた。
悔しがって クラスのほとんどが泣いた。

サナエだって 胸がキュンってなって 目頭が熱くなった。

一番最初に泣きそうになったのは 自分だ、と サナエは思う。

でも 気がついたら みんなワンワン泣いていて
もらい泣きっぽい子も多くって
なんだか 涙がこぼれる前に 退いた。

泣きたい気持ちは サナエだって ちゃあんと持っている。
でも 涙は ちょっと ガマンする。
それだけのことだ。


  ☆
 

ふうぅぅ・・・・サナエは 朝から ため息ばかり。

サイアク、今日は 体重測定だ。



「成長期の子どもがダイエットなんか 
       絶対 しちゃだめだからねっ。」
ママは わざと ご飯を山のように盛った。

「身長の伸びる時期と体重の増える時期が 順に来るのよ。」
保健の先生みたいなことまで言う。

今日は 重い体に加えて足におもりが付いてるみたいだ。
雨上がりでぬかるんだ校庭。 
水たまりが ところどころに光っている。

ぬかるみを避けて サナエは進んだ。



のろのろと 上靴に履き替えて
ポケットに手を入れると 小さな紙のようなものが触れた。

「あ、チカちゃんがくれた お守りだ」

四葉のクローバーを押し葉にして 
仲良しのチカちゃんが作ってくれた しおり。

「普通のよく見るクローバーより ちょっと小さめでしょ。
 これ サナエちゃんと私だけの おそろいのお守りだよ。」

細くって 小さくって可愛いチカちゃんがくれた 
小さくって可愛い四葉のクローバーのしおり。

ふうぅぅ・・・・
お守り 眺めながら、やっぱり ため息が出る。



「なーんだ、コレ」

サナエの手の中から しおりが するりと逃げ出した。
後ろから走ってきた カツヤのしわざだ。

「返してよ。」

「いやーだねー。取れるもんなら取ってみな~。」

にくったらしい。

わざと しおりをひらひらさせて、
アッカンベーした顔をチラチラ見せながら カツヤは逃げていく。



男子のほとんどが まだサナエより小さい。
ちょっとふざけてするくらいのケンカなら 
まだまだ サナエたち女子が強かった。



カツヤはサナエをからかいながら 
みんなが上靴に履き替えている中をチョロチョロ、縫って逃げる。

くやしい。すばしっこくて 追いつけない。

玄関から 泥んこの校庭に飛び出そうとしたカツヤを 
サナエは 全速力で 追いかけた。

「返してよぅ。」

上靴で 外に出たくない。
玄関ギリギリで カツヤの 腕を 思いっきり引っ張った。

振り払おうとして カツヤは腕を振り回す。
急に バランスを崩し、カツヤが よろけた。



小さな可愛い四葉のクローバーの しおり
・・・ひらひらと 泥んこの玄関先に 舞い降りた。
一瞬のできごとだったのに 
サナエはスローモーションで見てるみたいな気がした。



ペタンとしゃがみこんで呆然と サナエが落ちたしおりを見ていると

「重てぇ。 オマエ また 体重増えただろ。」

カツヤが 言った。

サナエのひじが ほんの少しだけ 
床に突っ伏したカツヤの背中に乗っていた。



何か 言い返そうとした。
泥んこになったしおりのことで 思い切り文句言ってやりたかった。

なのに胸がキュンキュンして カァっと顔が熱くなって
何も言葉が出ない。

立ち上がり カツヤに背をむけたまま 黙ってしおりを拾った。


泥んこになったしおりが ゆらゆら くもって見えた。

ポタン・・ポタン・・

しおりを持つ手に 涙が落ちた。

何か言おうとしたのに 喉がヒクヒクした。




   ☆


どんなに大声で 泣いたのか 
もう恥ずかしいから 思い出さない。

カツヤの顔を見るのも 嫌だ。

あの日 カツヤが 誰に責められ 誰にしかられたかなんて
そんなの 知らない。

「ちゃんと はじめっから説明して。」
先生は言ったけど サナエは黙って 泥んこのしおりだけ見せた。



   ☆



カツヤが近づいてきたから 
サナエはわざと チカちゃんとおしゃべりに夢中のフリをした。

「何よっ」

チカちゃんはあれから カツヤのこと、むちゃくちゃ怒っている。 

「これ やる。」

白い紙に セロテープでベタっと貼り付けた
やたら大きな 四葉のクローバー。

サナエの机の上に ドン と置くと 
カツヤは すぐに走って離れて行った。



「何よこれ、お詫びのつもり?」

チカちゃんは 可愛いけど 結構 口は悪いんだ。

「アタシたち二人の お守りだったんだからねっ。
 特別可愛いの探して 押し葉にして リボンつけて・・
 こんなの 全然 違うんだからっ。」

カツヤが 遠くから 言い返す。

「うるさい ばーか。 
 川原で いっちばん でっかい 四葉だぞ。
 一番でっかいのが いっちばんいいに決まってらぁ。」

チカちゃんは まだ プンプン怒ってる。




チカちゃんとおそろいの 可愛いしおり、 
気に入ってたから すごく悔しかったけど

カツヤ、許してやろうかな・・サナエは ちょっと 思う。


この 一週間 
カツヤが川原にしゃがみっぱなしで 何か探していたことを
サナエは ちゃあんと知っている。




「でっかくて 可愛い」四葉のクローバーのしおり

ツンと つついて サナエは 笑った。







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コメント

ゆいさんへ

こちらこそ 勝手にリンク追加させていただき
ありがとうございます(^。^)

大切な人の頭文字・・ってこともあるので
どの字も大事に扱わなくっちゃって 思いました。
キュンで ヒュン・・ね。なんだか 可愛いな~。

素敵♪

「よ」は大切な人の名前の頭文字で気になってました。
四葉のクローバー
小さい頃もらいました♪
自分でも公園に行ってひたすら探して見つけた思い出が(^^ゞ
いつも気の強い女の子がほろっと涙を・・・やばって思いますね。
キュンとなってヒュンと恋に落ちちゃう←えっ

リンクありがとうございます。
なずなさんのリンクもらっちゃってもいいですか?
これからもよろしくね♪

だるまさんへ

絵のこと答えるの忘れてました。
えっと、画像の上下に「○○さんから頂きました」とか
「○○さんとのコラボです」とあるの以外は 自作です。
素材屋さんから探してくるのが下手なので(^。^)

blogやhpで知り合えたお友達に頼んで
描いたり撮ったりして貰うのも すごく楽しくって好きなんですよ~。

コメントありがとうございます。

フトンさん 読んでくれました?今日ここにもUPしますね。
フトンさんのお題は 何かハートウォーミングなのか、ファンタジー風?って思ってたけど いい感じで仕上がりましたね。堂々トリを勤めています。凄い、凄い。(^。^)
やすみさん、aoiさん、hirononさん だるまさん、
泣かなかった子、泣かしちゃった子 ふふふ 顔を出しましたね。だるまさんは 追っかけ合いした子かな、けんかした子かな
イジワルな言葉も たわいなくって 小学生は いいですよね。
やすみさんは もっと印象的な時期が他にあったのね、きっと。

「私の思い出」の部分は ただの追っかけあいとか、泣かなかった可愛げのないところの部分です(^。^)

こんにちはw

いやいや・・・
一言びっくりですw
久々に鳥肌立ちました。
なぜか?
それは・・・
私が過去に目にした光景と出てくる小物すら違えどそのほかはまるっきり・・・
一緒。
なんだか心の中をかきむしられたかんじですw
それと毎回思うのですが・・・
絵がとてもいいですよね。
自作ですか?
自作じゃなくてもナイスセンス!
ですねwではではw

小さい頃・・・

小さい頃は私、女子をいじめた男子を泣かしたことあります(笑)2~3回(笑)
というのは、成長が速くて、小学校の頃は身体が大きかったのです。中学校で男子に抜かされましたが・・・
友達のためと言いながら、妙にスカッとしたのを覚えてます(悪)
なずなさんの物語は、子供の頃の思い出がスゥ~っと出てきます~

なずなさん、こんばんは!

私も、昔似たような経験をしましたね。
私も、ほとんど泣かない子でしたけど、
凄くつらい時の優しい言葉には弱いです。

友人からのプレゼントをとりあげられたりしたら…
泣くというより…これは凄く怒っちゃいますね。
だけど、カツヤは凄く可愛い子ですよね!
子供っていたずら好きですから。
やっぱり私も許してあげます!

読みました

Mystery Circle の作品読みました!!
何かいつものなずなさんの作品とは変わっていて、面白かったです(^0^)
又、来月が楽しみだなwなんて思いました。
ああ言う作品も素敵ですねw

もう、小学生のころの思い出なんて全然ない。
それだけツマンナイ日常だったのかな。^^;

こんな可愛い思い出が残ってるなんて羨ましいわ。

でも、こういう心理、いくつになってもあるんですよね。
そういう意味で、男と女って、大人になれないものなのかな。

思い出in

kazahanaさん フトンさん コメントありがとう(^。^)

小学校では大きい方だったけど まあまあ痩せていて、今はなぜか チビで太くなりつつあります。(中学から背が伸びなかったの・・)
男女の仲のいいクラスで あそびの入ったケンカはよくしました。懐かしいなぁ。

こんばんわ

ナズナさんの思い出inなんですよねw
素敵な思いでだなw
なずなさんの作品はとってもあったかいですねw
心がポッとあったまる感じがします。
さっきまで、自分の作品を書いてて、ちょっと落ちてたので、救われた感じ。
やっぱり良いですねw
うん^^好きです。

こんにちは^^

微妙な心理の揺れというか、移り変わりが手に取るように分かって、とても面白かったです♪
なずなさんのお話はいつでもそうなんですが^^
四葉のクローバー、小さいのも、でっかいのも、どっちも
大切な宝物ですね。
それにしても、どこからどこまでがなずなさんの思い出なんでしょう??
ちょっと気になりますね^^

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すずはら なずな

すずはら なずな

どれも短いお話ですが 
一つでも心に残ったら嬉しいな。

過去記事どこにでも、
コメントOKです。
舞い上がって
喜びます。

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