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STAND BY ME

生きることにちょっと 不器用な子どもたち、もと子どもたちの 短いお話を 綴っています

みかん~「あけましておめでとう」

,新年第一弾です。
今年は行かなかったのですが うちの近くの神社の風景を少し写してみました。
あけましておめでとう・・の気持ちを込めて。
皆様今年も宜しくお願い致します。


orange.png



「あけましておめでとうございます。」

近隣の人しか来ない小さな神社。深夜0時。
ひんやり冷たいみかんを 次々手渡しながら 愛想笑い。

お神酒を振舞われて 少しテンションの上がった大人や 
寝ぼけ顔の小さな子どもたち。
夜中に友達と出歩けるのが 
嬉しくてしょうがないって感じの 若いコたち。


ため息でちゃう・・。
こんなつもりで 帰ってきたんじゃないのにな。

─ ごめん、チハルお願いね
大掃除中 腰を痛めた母の代役で 
町内会の手伝いをするハメになった。

のんびり田舎で寝正月・・のつもりで帰ってきた。
一緒に過ごす相手のいなくなったあの街から 少しだけ離れたかった。

少し 人の波が途絶えて チハルは やっと白い息を 長く吐く。


小さい頃は両親と一緒に 夜中、ここに初詣に来るのが楽しかった。
顔見知りのメンバーに年始の挨拶をして
町内会のおじさんにみかんを貰い
お参りして 焚き火で温まって おみくじを引いた。

お神酒をもらえる歳になったころには 
もう大晦日に親と こんな近所の神社に来ることもなくなっていた。



知ってる顔は年寄りばかり・・かと思ったが
昔のクラスメイトもちらほら見かける。

意外な同窓生カップル。
早くも子連れになってる子までいた。

軽い会釈くらいで やり過ごす。



「みかんの追加の箱、ここに置いておきますね~・・・あれ?」

いかにもこれからの町内会を担う若手・・って雰囲気の男の人が
ダンボールをドスンとおきながら チハルの顔を覗き込んだ。

「ヤマナカ・・チハルだよな、オマエ」

・・よりによって何でまたコイツと会うんだ・・チハルは目を逸らす。

中学のとき一番苦手だった男子。
チハルのことを「クソ真面目」「笑ったの見たことない」って言った。



「覚えてねぇかな オレ、オオシマ。」

「覚えてるよ・・タカコの彼だったもの、1ヶ月だけ。」
「何でそういうことから言うかなぁ~?オマエってホント・・」

─ ’ホント’に、どうなんだ?

親友のタカコは オオシマのチハルへの評価を噂で聞いて
チハル以上に 憤慨してくれた。
オオシマとのデートのときも
「チハルって そんなんじゃないよ。」と 言い続けてくれたらしい。

─ 結局1ヶ月で話が合わないって 別れちゃったんだっけ。


       ★


確かに男子としゃべるのは得意とは言えないけど 
友達とは毎日笑い転げてる。

授業中はいつも 教科書の余白に漫画描いて、
次に描くストーリーを想像して楽しんでいる。

何でわざわざアイツに「クソ真面目」だの
「笑わない女」だの言われなきゃなんないの?

教室で仲間と派手にふざけて遊んでるオオシマを横目で見ながら
いつも チハルは心で問いかけた。

「きっと オオシマはチハルを好きなんだよ、
  だから普通以上に チハルのこと気になるの。」
タカコはそう言ったけど
結局 オオシマが好きだったのは タカコの方だった。



あれから 自分のしてることが
誰かにどんな風に見えるのか気になるようになった。
意識しないように 気にしないように
すればするほど 何だか自分の行動がギクシャクする。

付き合った相手も少しはいたけれど 
相手の自分に対するイメージなどが いつも気になった。

明るい素敵な「彼女」になりたくて 少しばかりの無理を重ねていた。

でも どこかほんとの自分じゃない気がしてた。

気がついたら・・いつか別れ話になっていた。

  
     ★


「オマエってさ、まだ コツコツ密かに少女漫画とか描いてんの?」

お参りの人のピークが過ぎたのか 
少し手が空いてぼんやりと立っていたチハルに
後ろからオオシマの声が聞こえた。

「描いてないよ、もう。高校の間は少し描いたけど・・。
 描いてる時間もないし 今は普通に大学生してる・・・。

 何で そんなこと知ってるの?あ、タカコが?」

「なぁんだ、オマエ。何かつまんねーの。

 タカコからも聞いてたよ。オマエにはやりたい事があるってさ。
 だけど それより、文化祭で看板とか背景とか描いてたじゃん。
 一緒に大道具の係やった ユキオとかテルとか覚えてない?
 オマエのこと、むっちゃ上手いって騒いでたからさ。」

─ そんなことも あったっけ・・。

「嬉しそうな顔して 絵描くんだって、
 漫画家になりたいって その時照れくさそうに教えてくれたって
 ユキオもテルも ああ、シンタも言ってたなぁ。」

「そんなこと 私、誰かに言ってたんだ・・・。」

「誰かっにて・・・覚えてないってかぁ?
 ・・オマエって やっぱ、男子、興味なしだった?」

─ いや そんなことは なかったんだけど・・・

「へこむよなぁ・・あいつら オマエのファンクラブとか言ってたのに。」

「え?」

「ユキオが話しかけても ちっとも楽しそうにしてくれないし 
 テルが何気に遊びに誘っても 
 忙しいからって テキトーに断ったろ?」

それこそ、漫画のこと考えてただけだ。
休みの日には漫画 描きたかった。

でも ほんとはちょっと 自信がなかったのかもしれない
・・私といても 相手が楽しいかどうか・・。


「だから『クソ真面目』って・・『笑わない』って
  アイツらと喋ってるとき一回言ったきりだぜ、それでもさ。」

チハルは 初めてオオシマの顔を正面から見た。
男前ではないけど人気はあった。
しゃべりやすいキャラと皆は言った。

なのに 避けて避けてなるべく近寄らないようにしてた オオシマ。


「だからさ・・・ごめん・・って。 
     気にしてたんだろ、オマエ。」

 ─ ううん、全然 気になんかしてないよ。
・・いつもなら 意地でもそう言っていたと思う。


「・・・・うん。 ずっと 気にしてた。」

みかんをひとつ 両手で包み込み、感触を確かめているうちに
チハル自身でも驚くくらい 素直な本音が言えた。

「こっちも ずっと気にしてたんだぁ。
 はぁ、よかった やっと謝れた。
 ・・あ、おっめでとうございまーす。みかん どうぞ!」

初詣客がまた 少し増えてきた。

「でもさ、あのままで 結構人気あったから。
 それは ホントだから。
 ・・あ、みかんどうぞ!!ほら、オマエんとこ来てるぞ。」

小さい子が チハルの前で 手を差し出す。

「あけまして おめでとう!みかん ひとつどうぞ!」
チハルがみかんを手渡すと その子は受け取り
頬を上気させてにこっと笑った。

かわいい・・・と思った。
自然に相手に向かって 微笑めた。



少し 変われるかもしれない。 

少し 戻れるかもしれない。

もっと 人のこと 信じられるかもしれない。 

もっと 自分のこと大事にできるかもしれない。




「ありがとう。気にしててくれて。
 そうだ、 ・・・言ってなかったよね、
 
     『あけましておめでとう』。」


大事なものを手渡すように オオシマの上向きの手の平に

チハルはみかんをそっと置いた。



コメント

あけましておめでとうです(^。^)

林檎さん今年もよろしく!
今年は林檎さんの影響受けて
大人の恋愛なんかも  書くかも・・
無理っ・・ Σ\( ̄ー ̄;)

月神さん、明けましておめでとうです。
お、謝る側に思い入れアリ?
悪かったかなって 思いを引き摺るのもまた
優しい人なんでしょうね。きっと( ̄- ̄)

鈴江臨さん 明けましておめでとうございます(^。^)
この風景は 大人になってから住んでるところに近いのですが
私自身の思い出もミックス状態で お話に仕上げてます。
臨さんの初夢のstory面白かったなぁ・・
皆様にも オススメですよ~。

遅くなりましたが、

すごく心温まる話でした。
私の家は学校の区域の端っこだったため、卒業して以来地元に住んでいても誰にも会うことがありません。
だからか、こんな感じの話を読むと、良いなあと思います。
情景が頭に浮かんできたりして、すごく読みやすかったです。
最後に、新年あけましておめでとうございます。

遅くなりましたが、明けましておめでとう御座います ○┓ペコ
今年も.:゚+。★(*ノェノ)☆.:゚+。ヨロシクЙё♪

人にどう思われてるのか、気にしていた頃もありました。いつの間にか「どうでもいいこと」になってしまったけどw
このお話を読んで思った・・・と言うか、共感に近いものを感じたのは「オオシマくん」に対してですかね。。。
私もきっと人を傷つけるような言葉を相当吐いてきただろうから。
いつかこんな風に機会があれば謝りたいような人が沢山www
そんな日がくればいいなぁと思いつつも読ませて頂きましたΣ(ノ´∀`*)アチャポー

こんにちは

なずなサン、いつも温かいなあ。みかん、そう思いながらたべました。

あけましておめでとうございます。

亞季さん、ヨッピちゃんも そうでしたか~(^。^)
多少なりとも 皆 何かひっかかることがあったのか・・。

言った方はあんまり気にしてないこともあるし
自分が言ったことを 言われた人より気にしてることもある。

言われて気になってたこともあるんですが
不用意に言ってしまった言葉で アッ・・と後悔したことも
私は案外いつまでも 憶えています・・(^_^;)

言葉って難しいです。

あのみかんが・・・(⌒-⌒)ニコニコ...

みかんから物語が出来てる!

私も根に持つ性格で、中学の時に男子から言われた言葉が、今でもタマに心に刺さります。
大したことではないんだけど・・・

そう言えば、最近思い出すこともなくなってたなあ・・
オバサンのなった証拠かも(⌒▽⌒)アハハ!
kazahanaさんも仰ってたけど、なずなちゃんの物語で青春の戻してもらいました。

あけおめです!

とってもほのぼのしました^^
ちょっと一言いわれただけでも気にしてることとかだとずーっと根に持っちゃったりするんですよね。。
私もいまだに小中学生の頃に言われたことを引きずってたりするのです(^^;

( ̄▽+ ̄)

最近になって プチ同窓会の話が 少しずつ来ます。
自由な時間が増えてきた友達が多いのかも・・。

自分の行った学校に近いところに住んでいるので
盆と正月頃には特に同窓生に会うことが多いです。(^。^)

私は地味な学生時代を過ごしてしまったので(それなりに楽しかったんだけれど)ちょっぴり後悔しています。
「真面目」な方だったかなぁ・・

いつものお母さんの目から、今回は、自分のことを見つめてるのかな。(^^)

私は、高校すら同窓会がないので、昔の同級生には会ったことない。
そういえば、あの子はどうしてるのかなとか、男の子女の子関係なく、思い出しますね。
あんなこともあったなぁ。。。って。

明けましておめでとうございます(^。^)

kazahanaさん
 こちらこそ 昨年は画像を頂いたりの交流、とても嬉しかったです。また素敵な写真を見せてくださいね。
今年も宜しくお願いします。
hirononさん
 いつも hirononさんの更新、楽しみに見に行っています。
詩だったり言葉だったり、絵だったり 写真だったり・・そのどれもが雰囲気があり、素敵です♪
 今年も宜しくおねがいしますね。

明けましておめでとう!

なずなさんの家の近くの神社、お正月はこんな感じなんですね!
私の家の方は、ほんとに小さな町なかの神社で、
「お汁粉」がふるまわれたりします♪
実家の方は「祝い箸」をくれたり・・・。
実家の方では、やはり同級生に会う事もありますね!
やっぱり懐かしくて、嬉しいです。
長い時の流れ・・・悪いものではありませんね!
なずなさんのお話を読んで、やっぱりそう思いました♪

A Happy New Year!

なずなさん、あけましておめでとうございます。

なずなさんからのコメントはいつも嬉しくて、
とても励みになりました。
ありがとうございます。

それから、なずなさんのお話を読んでいると、
純粋な気持ちが蘇ってくるようで、
いつも楽しませていただいています。
今年も、応援しておりますので、
ぜひぜひ作品をいっぱい書いてくださいね。

では、今年もよろしくお願いいたします!

あけましておめでとうございます!

aoiさん、コメントありがとうございます~。
今年は大阪の天満宮に行きました。
どんな1年になるかわからないけど 自分が好きで
人が好きでいられるように・・・
大事なことだと思うんです(^。^)

明けまして、おめでとうございます。

今年も、また新しい一年の始まりですね!
そしてさっそく、今年初の物語ができたのですね。
スバラシ~イ!!

>もっと 人のこと 信じられるかもしれない。 

もっと 自分のこと大事にできるかもしれない。

凄く大事なことですよね!
お正月は、なんとなくハッピーな気分になれる気もしますし、また、一度ニュートラルに戻して、気持ちを新たにしようと思えるんですよね。不思議と。なので、ちょっといつもより素直になれるのかもしれませんね!


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すずはら なずな

すずはら なずな

どれも短いお話ですが 
一つでも心に残ったら嬉しいな。

過去記事どこにでも、
コメントOKです。
舞い上がって
喜びます。

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