STAND BY ME

生きることにちょっと 不器用な子どもたち、もと子どもたちの 短いお話を 綴っています

「か」~かさ

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(サイト「たぬきの穴」のtanuちゃんにお許しを頂いて、「子供の庭」の「智くん」のシチュエーションを元にしたものを書かせて頂いています)


「雨、降ってたんだ」

見上げても空はすっかり暗くなっている。

アスファルトの道が濡れていて 
イルミネーションを映して光っている。


「さすが、ユウさんは 晴れ女だね。
 外回りの時も降られなかったし・・。

今度僕の担当する企画、屋外だから、
 ぜひチームに入ってもらおう。

この前のユウさんの仕事、好評だったしね。」



「晴れ女」だから、
というだけの誘いでない事には 自信がある。

フルタイムの仕事を再開して、初めての企画
 
・・・手ごたえは あった。





「ただいま。」


玄関には 運動靴が乱雑に 散らかっている。
ちょっとくたびれたランドセルも 放り出されたままだ。


小さいため息をつきながら、靴に手を掛ける
・・・ぐっしょり濡れていた。



リビングでTVゲームをしている息子のトモキの姿を チラっと見る。

・・あんなトレーナー、着てたっけ。

洗濯カゴに びしょぬれのTシャツが
 無造作にほり込まれている。





「雨、降りそうだったら、傘持って行くように言ったでしょ。」

「忘れてた」

「置き傘、皆してないの?」

「してない。」


 ゲームの方を向いたまま トモキの答えはそっけない。


「一緒に帰ってるシンジ君も持ってなかったの?」

「シンジは母さんが傘持ってきた。」

「入れてって言えば良かったのに。
 アンタも入れてあげたことあるじゃない。」




トモキは 何も答えずに ゲームの音量を上げた。

言いたいこともゲームの音に消されていく。



夕飯の支度にかかろうとしたら電話が鳴った。
シンジの母のリョウコからだった。


「ごめんね、トモキ君、風邪ひかないか心配で・・。
 私の傘にシンジ入れるからシンジの傘さして帰る?
 って聞いたの。
 トモキくん、いらない って、急に走って帰っちゃって・・。」




 改めて見るトモキの背中は意外と小さい。





冷凍食品を取り出しかけた手をふと止めて、

今日は温かいメニューにするか、と

 冷蔵庫をもう一度見直した。



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コメント

お返事書いてなくって

トラックバックしてくれた やいっっちさんの「相合傘」のお話の方にコメント入れたので、こっち 置いておいたままで ゴメンナサイ。

早かれ遅かれ、自分で離れていくのよね。
いつまでも おかあさんがべったりしなくても やっていける。
どこかで きちんと愛情を伝えていれば 
働く母の姿を見せるのも とてもいい事だと思うのです。
その伝え方が難しいのかもね。

Amiceさん、元気に帰って来て欲しいです。
お話 まだ全部読んでないのに・・。

男の子のメンツ

トモキくん、グッと何かを堪えてるんだね。今更、母ちゃんに文句を言うほど幼くはないし、といって母ちゃんなんて関係ないと思えるほど大人じゃないし。
でも、この子も、そのうち、母ちゃんとは無縁な世界でドラマを生きるようになる。
そうなると、お母さんは息子さんが何で悩んでいるか、まるで見当も付かなくなる…かも。

相合傘、読んでくれてありがとう!
あの、早々とトラバしちゃいました!
ところで、Amiceさん、どうしたんだろう。

この子は大丈夫なんて 思ってしまうほうが
子どもに 可愛そうなことをしているのかもしれません。

でも 「お母さん」だって 生き生き 働きたい。
お互い「大好き」「大事」ってキモチが 上手く伝われば いいんだけどね。

焦れったい

あれ? コメントがどっかに行っちゃった?
おかしいなぁ。ま、いっか。

このお話読むと、言いようの無いものが、もやもやと沸いてきます。
なんか、とっても身動きが取れない感じがして。
大人には、大人の事情があります。
子どもにも子どもの事情も、心もあります。
心の中には、見栄もあるし、プライドもあるし、気遣いもある。
甘えたい気持ちも、きっとどこかにある。

トモキくんは、この先も、不満めいたことは言わない気がします。
だから、大人は、それに甘えてしまいそう。
本当は、見えない内側で進行してしまうものほど怖いものはないんですけどね。
大人のほうも、薄々気が付いていても、にっちもさっちもいかないような。
誰も彼もが雁字搦めで、苦しい・・・です。

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相合傘

 授業が終わった。みんなワイワイ言いながら帰っていく。ボクも帰る。何も用事がない

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すずはら なずな

すずはら なずな

どれも短いお話ですが 
一つでも心に残ったら嬉しいな。

過去記事どこにでも、
コメントOKです。
舞い上がって
喜びます。

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