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STAND BY ME

生きることにちょっと 不器用な子どもたち、もと子どもたちの 短いお話を 綴っています

土手を走る

初心に帰って、
少しずつMC以外の場所でやってる募集のテーマをもらってきたり、
自分でちまちま書いたりしていこうかな・・と思っています。
オチなしの短編や心温まらない話もあると思いますが、どうぞお許し下さいね







今年初めて 耳が切れそうなほど寒い と思った。

ずっと後ろ離れて 娘の玲菜が自転車で付いて来る。
自転車で子どもと出かけると
進みの遅い子どものに合わせて ゆっくり走るのが嫌いだ。
こどもの足が小さなペダルをキコキコ。
小さなタイヤがやっとのことで一回り。
どんなにゆっくりペダル踏んでも
気を抜くと 後ろに遠く離れてしまう。


土手の風景を見ながらゆるゆる進む。
水のほとんどない川。
土手の斜面には近隣のひとが勝手に育てているのか、所々が花壇のようになっていたり
草ボウボウの中、古ぼけた自転車の残骸が転がっていたりする。
何がいるのかこの寒さの中で、アミを持って 水面を覗き込んでいる小学生もいた。


自転車が好きだ。

「ちょこっとだけ・・」
風切って 進む心地よさを思い出したくて
ペダル漕ぐ足に力を入れる。
きんと冷たい空気にかじかむ手。
真っ直ぐ遠くを見やると山の辺り、あれは雪空。
こんな冬の日が確か前にもあった。



目線を戻す。
いつからいたんだろう、前を走る自転車。
黒い学生服。上着の中に着た赤いパーカー。
フードだけ出して。
片手をポケットに入れ、耳にイヤホン。
歌っているのか 時々ふらふらと頭が揺れる。
あの後ろ姿 ・・・わたし知ってる。

振り向いて。振り向かないで。
気が付いて。気が付かないで。

方向が一緒なだけだから。
後ろ走りたいわけじゃあないんだから。

寒いのに こんなに寒いのに。
心だけはほこほことして、
うしろ頭 見つめてた。

待って。
待って。
待って。

お願い。一度だけ

振り向け。





ぷぁ、ぷぁ、ぷぁー。
クラクションに驚き、急ブレーキをかける。
赤信号の向こう。
遠ざかるのは きっとわたしの知らない少年。



「ママー 待ってよぉ」

幼い声に振り向くと
ほっぺたを真っ赤にした玲菜が
小さな自転車を精一杯漕ぎながら
ちょっとむくれた表情をして 後を追ってきた。





コメント

Re.mokoちゃん

今日は雪だったところも多いとか。
こちら方面 ずっと雨です。洗濯物が乾きません・・。

土手の風景が好きで、何となく懐かしくなります。
創作だけど、気持ちは自分自身・・かな。
春、待ち遠しいね。

寒いですねぇ。雪は降らないのに。。。

散文詩のようなお話ですね。

ほとんど水がなくなった川の堤を行くお母さん、ずーと昔の女学生だった自分を追っているのかな。そして、その前を行く少年。

春が近いですね。

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すずはら なずな

すずはら なずな

どれも短いお話ですが 
一つでも心に残ったら嬉しいな。

過去記事どこにでも、
コメントOKです。
舞い上がって
喜びます。

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